校長より

神高(かんこう)新たな世紀へ

校長 北村 武

時は大正8年(1919)7月10日、三重県は臨時の県会で県内の中学校の増設を満場一致で決議します。その候補地として河芸郡が予定されると、当然ながら郡内のいくつかの町から誘致運動がおこり複数の候補地が挙がります。議論の末、最終的に現在の場所(旧神戸城跡内の藩校教倫堂跡地)が選ばれ、翌9年に三重県立神戸中学校が設立されたのが始まりです。

昭和23年には、三重県立神戸中学校、三重県立河芸高等女学校(後の三重県立白子高等学校)、鈴鹿市立高等女学校、鈴鹿市立工業学校が統合され、三重県神戸高等学校に改称。併せてこの年に定時制も設置されました。その後のベビーブームと相まって、全日制、定時制にそれぞれ商業科、家庭科が増設され、教室などの増築も進みましたが、時代の流れとともに、商業科は平成17年に、定時制は平成23年に募集停止となりました。平成24年からは全日制の普通科6クラス、理数科2クラスを基本とした県内でも有数の進学校として現在に至っています。

さて、現在の学校の様子ですが、生徒のほとんどは四年制大学への進学を目指し、日々真剣なまなざしで机に向かっています。学校としましても、英語、数学での少人数指導の実施や、年間を通しての進路ガイダンスや個人面談、土曜日の進学課外(CS:Challenge on Saturdays)の導入など、一人ひとりの進路希望の実現のため、きめの細かいサポートを行っています。また、「質実剛健」を校訓とし、「文武両道」の気風に溢れる本校では、クラブ活動や伝統の体育祭などにも力を注いでいます。生徒会活動も活発で、こういった活動を通じての人格形成や人材育成も本校の特徴のひとつであると思っています。

一方で、「センター試験」からリニューアルした「大学入学共通テスト」や今年度から開始の新学習指導要領への対応、さらには、生徒一人一台端末に代表されるICT教育の推進なども待ったなしです。「society5.0」と呼ばれる社会の到来に向けて、主体的・対話的で深い学びを促すために、普通科に「鈴鹿学」という探究の時間を導入(令和元年)しました。これは鈴鹿市にも協力を仰ぎながら、生徒たちが地元鈴鹿の良さ、課題等を発見し、テーマを決めて探究を進め、その成果をICT機器を用いて発表しあうというものです。

このように、不易と流行をしっかりと見定めながら、目指す学校像「不断の進化を続ける進学伝統校」の実現に向け、質の高い学力を身に着けることはもとより、豊かな人間性を身に着けた「人づくり」を重視し、生徒一人ひとりに「生きる力」を育んでまいります。そのため教職員が一丸となって進取の気概を持って取り組んでまいりますので、次の百年に向けて皆様の一層のご支援、ご協力を切にお願い申し上げます。